試される大地から

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青年海外協力隊への参加は得策か?多すぎる懸念点

青年海外協力隊という制度がある。これは名前くらいは聴いたことがある人が多いかも知れない。

日本の独立行政法人であるJICAによって運営されており、青年海外協力隊の候補者は国内での研修ののち、2年間発展途上国へボランティアとして派遣され、現地で支援活動を行うというものである。

ボランティアという位置づけではあるが現地での生活費に加えて、再就職支援金というものが支給される。

生活費は現地の生活水準に合わせた金額となるが、見聞きした範囲では5万前後の支給となるケースが多く、再就職支援金は約9万円で月あたり合計14〜15万ほどの金額となる。

「青年海外協力隊の虚像」という本の衝撃

青年海外協力隊の虚像

青年海外協力隊の虚像

僕自身、青年海外協力隊についてはこの本を読むまではシステムなどもまったく知らなかった。

この本は現在は電子書籍となって再販されているが、1990年代はじめに出版され、嘆かわしい青年海外協力隊の実態を世間に知らしめた本でもあった。Wikipediaにもページがあるくらいである。

青年海外協力隊堕落論 - Wikipedia

この本は、青年海外協力隊員としてホンジュラスに派遣された経験をもつ石橋慶子氏によって書かれたものである。

筆者の石橋氏はコンピュータ技術の分野で貢献できることを期待していたようだが、実際に任地に派遣されてみると職場となる国立大学ではろくにコンピュータが可動しておらず、雑用や講義の補助のような仕事ばかりとなり、途方に暮れる様子がありありと描かれている。

ホンジュラスの首都テグシガルパの様子

ホンジュラス 首都テグシガルパに寄り道。治安は昼間は大丈夫だった。 Shohei Watanabeさん | Compathy(コンパシー) より写真を抜粋

さらに、JICAから派遣されている現地調整員の支援もろくになかった上、他の隊員の問題行動(買春・麻薬etc.)やモラルの低さ、閉鎖的な人間関係に辟易とさせられていたことも本書では包み隠さずに語られている。

他にも、あまりにも理想とかけ離れた仕事内容、あまりにも適当なホンジュラス人の気質に悪戦苦闘する様子も描写されている。

最終的には石橋氏はいろいろな人間関係でのトラブルに絶え続けたものの、残り半年足らずを残しての任期短縮(※任期の2年未満で任地での活動をやめること)となり、帰国後にうつ病と診断されるなど相当後をひいてしまったようだ。

この本はAmazonのUnlimited会員であれば無料で読むことが出来るので、協力隊について知りたい人は是非一読を勧めたい。

「任地で仕事がない」のを"あるある"で済ますJICA

実は、僕は先日青年海外協力隊の説明会にも参加してきた。そこの説明会で驚いたのは協力隊OBの「現地では仕事がなかった」という証言を「協力隊あるある」で済ませてしまっていることだった。

人のキャリアがかかっている以上、あるあるネタで済ませられるはずはないのだが、あまりにもそうしたケースが多いためにJICAも感覚が麻痺してしまっているのではないだろうか。

説明会が行われたJICA東京の講堂(※写真は別イベントのもの)

そのあとは仕事がないのを、現地で仕事を見つけるのも仕事のうちという言葉で手短に済ませて協力隊応募の説明に移っていたが、全体的に「人間的に成長できる」とか「グローバル人材」というあまりにも抽象的で中身のない言葉ばかりが踊っていて、早々に聞く気をなくしてしまった。

あまりにも低すぎる協力隊参加者のレベル

協力隊参加者のうち、実に1割が無職なのだという。大学卒業後、新卒で協力隊に入る人間もおり、協力隊での任務が終わった後もブラブラして再就職出来ない人間が多くいるそうだ。

さらに語学基準については、派遣前の研修の段階で英語力でA〜Dランクに分けられる。Dランクは英検3級、TOEICスコア330相当(!!)だそうだが、実に協力隊参加者の4割がなんとこのDランクなのだという。

(※誇張でもなんでもなく、協力隊員募集の公式パンフレットに堂々と書いてある事実なので是非確認いただきたい)

語学がこんな有様なので、まともなスキルを持った人間のほうが少数派と見るべきだろう。スキルもなく現地に行ったとしても多くの人間は大したことはできない。挙げ句、最近は応募者が増えないためか、年齢制限が69歳まで引き上げられている。

本当にやる気があって、勉強する意欲もある人はきっと幻滅してしまうだろう。協力隊OBの宮崎大輔という人のブログでも、訓練所生活がぬるま湯だとする記述がみられる。

jiburi.com

海外で人助けをするにも最低限の語学力やスキルは必要なはずなのだが、事前に準備をろくにすることもなく、数多くの人が協力隊の募集に応募しているという現実がある。

5chの書き込みも、キツイ言い方の中にも青年海外協力隊の現実を指摘する声がちらほら聞かれる。

青年海外協力隊スレ 9 JOCV

真の国際協力を志す人の踏み台程度にはなるか

そんなこんなで、いろいろとボロが出ている青年海外協力隊ではあるが、元国境なき医師団の医師の経験をもつ山本敏晴氏によれば、NGOなどで働くよりも『数段上の選択肢』なのだそうだ。

blog.livedoor.jp

理由として主要なところを挙げておくと以下のようになる。

- 毎月十数万のお金がもらえる
- 海外勤務経験2年がつく (※国連への応募に必要)
- 国連職員やJICA職員になる等の選択肢が増える
- 語学力が低くても採用されやすい、派遣前の語学研修もある

確かに将来的にJPO経由での国連職員といったキャリアを目指す上では青年海外協力隊は必ずしも悪い選択ではないかも知れない。

しかし、本当に優秀な人であれば無難に海外経験を積んでサクッとJPO程度は合格するはずで、わざわざ仕事が無いかも知れないリスクを犯して青年海外協力隊に入るメリットは薄いとも言えるが・・・

参考

www.world-scene.com