試される大地から

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エンジニアとしてアメリカで働くのが無理ゲーな件について

シリコンバレー礼賛極まる現在について、一度はシリコンバレーに行ってみたいというエンジニアがたくさんいるのだろうと思います。僕も同じくシリコンバレーに行って働きたいと思ったのですが、余りにも敷居が高く断念しました。どうして断念しなければならなかったのか、アメリカに訪問したときの感想と、就労ビザを取るときに調べたことを交えて書き残しておこうと思います。

これから以下の文中で出てくるシリコンバレーとは、サンフランシスコからサンノゼの地域を指すものとします。

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サンフランシスコジャイアンツの本拠地、AT&Tパーク

その1. 家賃・住居費が無理ゲー

現在、サンフランシスコの家賃はNYを抜いて全米一の水準になっています。家賃相場は月3000〜4000ドル前後が普通になっています。あまりにも家賃が高すぎて若い人たちルームシェアをするのが当たり前になっているそうです。

建売り住宅に関しても、サンフランシスコ近郊の住宅価格は高騰が続き、直近の30年で価格は5倍にもなったそうです。一般の2階建て住居は中古でも150万〜200万ドルに上り、普通の給料では家を買うこともままならない状況です。一方で昔から住んでいた人は高騰した家を売って資産を得て、他の地域に移り住むケースもあるようです。

シリコンバレーはとにかく住居費が高くQOLを確保するのが難しいので、大手IT企業などはシアトルやバンクーバーなどにオフィスを新設してそこでエンジニアを雇っているケースも多くあります。

その2. 物価が無理ゲー

シリコンバレーの物価は本当に高いです。

日本より安いのは肉・ミネラルウォーター・電化製品くらいです。牛乳・卵はもとより、ジュース・冷凍食品・加工食品・惣菜類・調味料・米は平気で日本の2~3倍の価格がついて売られています。パンやパスタだけは辛うじて日本と同水準なのが救いです(あとはアメリカンな大量のクッキーも)。日本食品の専門店もあって日本のものも手に入るのですが、やはり2倍の価格からが最低ラインです。

『こんな小さな袋菓子が1.98ドル!?』、『まーた会計が40ドルを超えてしまったのか』等々、レシートを見るたびにため息とは無縁では居られません。まとめ買いでの割引が設定されていることが多いので、単品買いを避けてなるだけまとめ買いしないと高くつきます。

レストランも高いです。7〜8ドル程度で済ませられるマクドナルドが一番安く、普通のレストランでランチを取るのでもチップ込みで15〜20ドルが当たり前の世界です。その上食べ物の種類も少なく全体的に味は単調、塩気と旨味が不足した料理ばかりなので、日本人の肥えた舌には厳しい環境です。中華料理が安くて比較的日本の味に近いため重宝します。

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アメリカのセブンイレブンにて。財布に全く優しくない価格が特徴だ

その3. 就労ビザが無理ゲー

エンジニアとしてシリコンバレーに行きたいのであれば、まずはH-1Bビザが必要です。しかしこのビザは慢性的に新規発給枠が不足しており、アメリカで働きたいエンジニアの大関門になっています。

H-1Bの新規発給枠は1年に8万しかありません。そのうち2万はアメリカの大学院を修了した人間のみに適用されます。毎年20万前後の応募があるため、半分以上は落ちる計算になります。しかもビザ審査に入る前に、まずは希望者をふるい落とすための抽選があるのです。抽選に落ちればビザ審査のプロセスにすら進めません。

さらに、H-1Bに応募するためには、アメリカの会社からビザサポート付きのオファーをもらっている必要があります。つまり、会社から内定をもらい、ビザの保証人になってもらわなければならないのです。会社はH-1Bビザ発給の申請を移民弁護士を通じて行います。このための弁護士費用が4000ドル程度かかりますが、このコストを会社が負担しなければならないのです。

アメリカの移民法は複雑で、手続きが重要なためノウハウのない人が移民弁護士の力を借りずにビザ発給の申請を済ますことは無理だと言われています。ビザ申請は履歴が残るので、申請の段階から下手を打って却下されてしまうと、将来的なビザ取得そのものが不可能になってしまいます。

アメリカの大学院を出ると一定の就労期間が与えられます。文系では1年、理系では2年半の就労期間が与えられます(OPT; Optional Practical Training)。それでもH-1Bは厳しく、アメリカの大学院に留学した人でもOPT期間中にビザを取れず帰国を余儀なくされることも珍しくないようです。アメリカ国外にいながら、すでにアメリカ国内にいる留学生とH-1Bビザサポート付きのオファーを争うのは並大抵のことではないとわかるかと思います。

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晴れ渡るシリコンバレーの空。ここで働く夢を叶えることは、物理的な距離以上に遠い

以上が『アメリカで働くのは無理ゲー』と判断した理由です。よほどの才能や実績がある人ならビザは取るに足らない問題ですが、ほとんどの凡人にはビザの取得すら厳しく、運良く取得できてもその先生きていくのも大変です。

シリコンバレーで暮らすなら、よほどの高給のオファーを取れる人・精神的に強い人でない限り疲弊してしまうだろうと思います。日本で年収1000万なら高給取りですが、サンフランシスコ近郊で年収10万ドルだと日本の年収300〜400万相当の生活水準になってしまうと思います。それくらいの10万ドルくらいの給料は当たり前にもらわないとまともな生活ができない環境なのです。